最果ての城のゼビア 特設ページ

7 こぼれ話


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7.1 原風景をみる

課題曲の音源が発表された頃、まわりの反応を見ていてどうもピンときていない様子でした。私としてはごく普通だと思っていたことが人には少し異質なものに聴こえたようです。話を聞くとその原因は構造の複雑さにありそうです。「場面がコロコロ変わりすぎ」とか、「統一感がない」とか。なぜそうしたのか?と聞かれれば「そういう曲が好きだから」です。今まではただ単に趣味の問題ということでその理由については特に考えずにきました。ところが最近ふと心当たりが…。

それはストラヴィンスキー作曲「火の鳥」です。

それも1910年オリジナル版です。吹奏楽でよく演奏されるのは1919年組曲版のアレンジなので聴いたことのない方もいるかもしれません。1910年版は4管編成で演奏時間は45分ほどと長く、演奏会でとりあげるには少し難がありました。そこでハイライトだけを集めて編成も2管編成にして演奏しやすくしたのが1919年版です。

私が中学生の頃、某中学校が全国大会で名演をして話題になった「火の鳥」ですが、私もその波に乗ってオーケストラ版のCDを買いました。コンクールで聴いたのと違う版だとも知らずに。違うということは聴いてすぐに気づいたのですが、だからといってそう何枚もCDを買うわけにもいかなかったのでとりあえず何度も繰り返し聴いていたのでした。中学3年の頃にはスコアも買って、むしろこの1910年版の方が好きになってしまいました。

このストラヴィンスキーの「火の鳥」1910年オリジナル版はバレエ音楽で場面にあわせて音楽がシームレスに移っていき時にはじっくりと、時には性急に情景が描かれます。組曲版とくらべ楽器の種類も多いのでかなり過激なオーケストレーションで刺激的です。この曲からは多くのことを学び、今でも目標とする曲のひとつです。

「最果ての城のゼビア」がこの曲の影響を受けてないのかと問われて否定はできません。メインとなる楽曲単位ではなく、その瞬間の響きを味わうのです。興味のある方はぜび「火の鳥」1910年版を聴いてみてください。組曲版とくらべても各曲の関係性が面白く感じると思います。例えば有名なカスチェイの踊りは冒頭の打撃音が印象的ですが、実はあれは頭の音ではなく前の曲の最後の音なんです。

7.2 影響を受けた曲

吹奏楽部でホルンを吹いていた中学2年の頃、練習後に指揮台に置かれたままになっているスコアをこっそりのぞき見ることにハマっていました。他のパートの譜面がどうなっているのか気になってしようがなかったんです。それまでに演奏してきたホルンパートはノバシとかキザミとか、曲を見通せる要素に乏しかったので自分がいったいどんな音楽の一部を担っているのか知りたかったんです。先生の見ているスコアというものには全てのパートが書かれていてメロディも伴奏も丸わかりだというので好奇心が抑えられませんでした。

そのうちオーケストラのポケットスコアが地元の楽器屋で売っているのを発見したので次の定期演奏会で演奏するヴェルディの歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲のスコアを買いました。もちろん演奏会ではアレンジ版で演奏します。なので吹奏楽版と見比べることによっていろいろと勉強になりました。移調読みなどがわかりはじめたのもこの頃でした。曲の調も違いましたしホルンはE管で書かれていました。

そんなこんなを耳にした顧問の先生が今度はこれを買いなさい、とある曲を勧めてくれました。その曲はリヒャルト・シュトラウスの「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」です。ホルンが活躍する曲だ!ということで早速買ってきました。名前が難しくておぼえられないのでメモしていった記憶があります。

久しぶりにこの曲を聴くと自分の理想に近いなぁとあらためて思います。大作曲家の作品ですから素晴らしい曲なのは当然ですが、今思うとこの曲の影響が大きかったことに気づきます。そういえば作曲を始めてからも研究材料にしたりしていました。そこから得られたものがそれ以降の私の曲に影響を与えています。今ではそのことをすっかり忘れてましたが、そうでした。それがどんな影響なのかをここに書くとすると長くなってしまうので書きませんが、ティルを聴いて想像していただけたらなと思います。何か見えてくるかもしれません。

オイレンブルクスコア リヒャルト・シュトラウス 交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》作品28 (オイレンブルク・スコア) ↑私が買ったスコアはこれの輸入版でした。値札に¥2256と書いてあるので今の方が安いんですね。