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6 和音分析しよう


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最果ての城のゼビアのコード進行についてよくわからないというご意見がありましたので少しお話しします。が、事細かに書くとどれだけスペースがあっても足らなくなってしまうのでかな〜りザックリとさせていただきます。が、それでもすぐには書けそうにはないので少しづつ更新していきたいと思います。専門用語なども出てくるとは思いますが細かく説明はできないのでお察しください。それにここに書くのは私の独自の考え方であって他の方の考え方や理論とはいっさい関係ありません。

6.1 その前に…

6.1.1 音程の合わせ方

演奏されるみなさんの興味は理屈や理論よりもどうすれば音程があうのか?にあると思います。曲とは直接関係ありませんがこの後の話を理解するために必要だと思うのでここから書きたいと思います。

音程の取り方にはいくつかの方法があります。第一は絶対的な音程としてチューナーなどを参考に正しい音程を身につける方法。第二は周りの音を聴いてそれに合わせる方法。第三は直前の音から計算してとる方法。

第一の方法では普段の練習から意識して正しい音程を脳みそに刻み込む必要があります。習得に時間がかかる割には正確にとるのが難しい方法です。何の助けもなく正しい音程を思い出せなければいけないからです。世間では絶対音感と言うのでしょうか。

第二の方法は音程のあっている状態とあっていない状態の違いを知っていればそれほど難しくはありません。これは双方を聴きくらべればすぐわかります。しかし周りを聴いてからあわせるので音の頭から正確にとることはできません。出してしまった音の音程があっていなかった場合に修正する方法です。

第三の方法は直前に聴いた音とこれから出す音との音程関係を計ってイメージする能力が必要です。基準とする音は自分の音でもいいのでメロディの音程などを正確にとる時は常に次の音をイメージします。音程関係がわかる必要がありますが意識していれば徐々にわかるようになると思います。同じ音ならばすぐにとれるようになりますが音同士の間隔が広がったり複雑になると難しくなります。

どの方法もメリットデメリットがあるので状況によって使い分けるのがよいでしょう。とくに第二、第三の方法が吹奏楽では大切です。普段は第三の方法であわせるように練習し、もしズレてしまったら第二の方法で修正します。コンクールではチューニングルームでしっかりと基準となる音をおぼえておいて冒頭をあわせましょう。その後はその音を基準にとっていきます。音程を個別にとろうとしたら曲全体の中で音程があう確率はギャンブルをするのと同じです。

音程はイメージに影響されます。正しい音程がイメージできていれば体がその音程を出すように動きます。イメージと違う音が出てしまったら脳みそが不快感を感じて次から勝手に修正をかけてしまうからです。音色についても同じことですが人は思った通りにいかないとイラつくものです。つまり理想をどれだけイメージできたかでスキルに差がつきます。頑張りましょう。

イメージと言えば、今出す音だけでなくその音が到達する音をイメージするのも大切です。例えばドレミファソ〜と演奏する時、最初のドの音をイメージするだけでは足りませんよね?全ての音を正しくイメージするのが理想ですが、まずはソの音をイメージしましょう。その間の音は脳みそがある程度補正してくれます。それよりもその音があらかじめ用意されていないといくらドがあっていたとしてもソに到達する頃には狂ってしまいます。気をつけましょう。

6.1.2 和音の領域

ひとつ、実験をしてみてください。ピアノなどの鍵盤楽器で左手でドの音を右手でオクターブ上のドの音を弾いてみましょう。オクターブなので響きは澄んでいます。これだけではC-durは成立しませんがこの2つの音しかないので聴く人はC-durと感じます。それはCの音に倍音としてEとGが混ざっているからです。次に左手は続けて同じドの音を、右手は隣のレの音を弾いてみましょう。同様に左手はそのままで右手をミ、ファ、ソ、ラ、シと変えていきましょう。

譜例クリックで拡大 ピアノなどで実際の響きを確かめてみよう

シとレは濁った感じがありますがおかしくはないと思います。これらの右手の音は左手のCが影響してドミソのどれかになろうとします。左手のCがその倍音に含まれ調和する音を求めるのです。言ってみればドミソ以外の右手の音はドミソの変化音と言えます。調和する音が少しだけ高くなったり低くなったりしているだけだからです。

今度は和音を例にしてみましょう。ドミソの和音を弾いてみましょう。この和音をコードネームで表すと「C」です。次にソの音をラにしてみます。コードネームで表すと「Am」です。コードネームでみるとこれらの和音は違う和音であり違う機能があります。とはいえこれらは2つの音が共通しているのですごく似た響きがします(感じませんか?)。どちらの機能も終止に使うことができる和音です。違う和音だけれどもそれほど違う和音ではない、と言えます。先ほどの話と同じようにただ構成音のソが少し高くなっているだけです。

譜例クリックで拡大 ピアノなどで実際の響きを確かめてみよう

ドミソのミの音をファに変えても同じことです。この場合はドとソの完全5度が共通しているのでドミラよりもドミソ感が強いです。ドミソのミをレに変えても同じです。さらにフラットやシャープをつけても同じです(ただそれぞれが他の音と半音でぶつかると強烈に濁るので注意)。このように音が変化していても元々の和音と同類として扱います。元々の和音の影響範囲をここでは和音の領域とでも呼ぶこととします。いわゆる調性とよく似ていますがもっと曖昧なものです。その調に聴こえるかどうかよりもどの和音から派生してどの和音へ向かうのかが大事です。調性での機能のドミナントやサブドミナントは全てトニカへ解決したがるので変化音としてとらえます。

この考え方でいくとドミソの派生として使える和音はぐんと増えます。構成音が4つになっても5つになってもいいわけです。ポイントはその瞬間の構成音ではなくそこがどんな和音の領域なのか?となります。

6.1.3 ゼビアの和音の領域

以下に曲中のどこがどの和音の領域なのかをおおまかに示してみます。調性としては成立していないところもありますが、中心となる音は見つけることができると思います。長調、短調の区別などは省略します。ドイツ音名です。

場所領域
冒頭〜D
[A]〜G
[B]〜C
[B]9小節目〜D
[D]〜C
[G]〜Des
[H]〜B
[I]5小節目〜Ges
[K]〜F
[L]〜D

という感じです。